ほんとに更新の頻度が稀で申し訳ありません。。。
何人かの作曲家の紹介文を書こうと思っていたのに、いつの間にやら1週間前を切ってしまいました。
前回はスハイトだったので、またあまり知られていない作曲家を紹介したいと思います。
作曲家紹介二人目は、
ディエゴ・ペルソネ
(Diego Personè 1598-1654)
です。
曲は、
Ahi lagrime, ahi dolore(あぁ涙よ、あぁ苦しみよ )。
この曲の歌詞は、本来はタッソの悲劇『トッリズモンド王』からとられた曲、として演奏するつもりでしたが、よくよく詩をみてみると、本来の詩から相当書き換えられていて、詩の内容も恋愛詩になっています。
この作曲家もあまりに情報が少なく、パンフレット作成時にはどうしたら良いかと悩みました。ニューグローヴにもイタリアの百科事典にも載っていません。
当時は地方領主であったようで、その地方(今のレッチェ県、カルピニャーノ・サレンティーノ)のサイトでなんとか情報を得、その後同じ地方で出版された本を見つけ、そこからある程度の情報が得られました。
本は二冊出版されており(恐らくそれぞれ絶版)、後半にはそれぞれ現存するペルソネのマドリガーレ集、3巻と4巻の全曲の楽譜がオリジナルのファクシミリ、現代の総譜それぞれ添えられていました。
ペルソネは、生没年を見ても分かる通り、17世紀の作曲家、と言って構わないと思います。
南イタリアの領主のマドリガーレ作曲家、といえばジェズアルドですが、この人も相当に高度な教育を受け、南イタリアのマドリガーレらしい曲を書いています。
Ahi lacrime ahi dolore passa la vita e si dilegua il core e sempre da me fuggi non più fuggir crudele non più m'odiar infedele ch'ogni fermo sostegno & ogni gran martoro sopporto per haver homai ristoro.
あぁ涙よ、あぁ苦しみよ
人生は過ぎ去り、心は消え去り
そしていつでも私から逃げる。
酷い人よ、もう逃げないでおくれ
不実な人よ、もう私を憎まないでおくれ
どんな確固たる支柱も、 どんな壮大な苦悩も
ついには慰めを得る為、私が支え耐えるから。
『トッリズモンド王』第5幕、第4場、最終合唱
Ahi lacrime, ahi dolore, Passa la vita, e si dilegua, e fugge,
Come giel che si strugge. Ogni altezza s'inchina, e sparge à terra,
Ogni fermo sostegno, Ogni possente Regno In pace cadde al fin, se crebbe in guerra.
E come raggio il verno imbruna, e more
Gloria d'altrui splendore. あぁ涙よ、あぁ苦しみよ
人生は過ぎ去り、霧散し、遠ざかる、
氷が溶けるかのごとく。
どんな高みも屈服し、地に散らす、
どんな確固たる支柱も、 どんな強固な王国も
遂には静かに倒れるのだ、戦で成長したのならば。
そして冬の日光の如く暗くなり、そして
他の者の栄華の栄光は潰える。
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